老化や病気の大きな原因である活性酸素は、私たちが息をすることで空中から取り入れた酸素が体内で変質したものです。この活性酸素を抑制・除去することが、私たちが健康で若々しくいられるポイントとになるということで、近年、抗酸化物質について注目されるようになりました。

その中で特に抗酸化物質が豊富に含まれわかりやすいものが野菜の色素「ファイトケミカル(phytochemical)」です。

ここでは、その野菜の色素「ファイトケミカル(phytochemical)」についてみていきたいと思います。

「ファイトケミカル(phytochemical)」とは

「ファイトケミカル(phytochemical)」は、植物にとって有害なもの(紫外線など)から自身を守るために作り出されるた、色素や香りなどの成分のことです。野菜や果物に含まれる、ビタミンやミネラルといった栄養素とはまた別の成分になります。

「ファイトケミカル(phytochemical)」は必須栄養素ではないものの、抗酸化作用や免疫力の向上など、身体に良い作用や影響を与え、健康維持のためにぜひ摂取したい大切な成分であることが最近の研究で明らかになってきています。

「ファイトケミカル(phytochemical)」の抗酸化力

「ファイトケミカル(phytochemical)」で最も期待されている健康への効果は、抗酸化力です。

人は、呼吸の際に酸素を利用しますが、取り込まれた酸素の一部が活性酸素やフリーラジカルという、体内のタンパク質と反応して、その機能を損なったり、脂質を酸化させて過酸化脂質を生じさせたりして、遺伝子の損傷を引き起こすことで、老化やがん、動脈硬化、生活習慣病などの原因になるものと考えられています。

そこで抗酸化物質を摂取することで、酸化を防ぎ、老化や様々な病気のリスクを下げることが期待されています。

特に野菜や果物の色素、つまりそのものの色で、その効果がわかりやすいのがとても便利なところです。

また特に「旬の野菜」その特徴として、色が濃く、その時期に必要な栄養が豊富なことから、ぜひ摂取したいものになります。

野菜の色と「ファイトケミカル(phytochemical)」の種類

それぞれの色と働きを知って食事に上手に取り込めるようになると良いですね。

野菜の色 色素名 働きと代表的な食材
リコピン

活性酸素の働きを低下させる抗酸化物質として注目され、特にトマトやトマト製品に多く含まれることが最近の研究でわかってきた。

リコピンは、ベータカロチンと同種のカロチノイドで、トマトやスイカなど、フルーツを深紅色にする物質。

カプサイシン

カプサイシンはカプサイシノイドと呼ばれる辛み成分の1つ。

特に唐辛子に多く含まれ、身体を温める作用や殺菌作用があり、最近ではアドレナリンの分泌が活発になることでダイエット効果が期待される。

発汗作用で、老廃物を輩出する美肌効果がある。

β(ベータ)

カロテン

 

活性酸素を取り除く働きがあり、体内で必要に応じて、ビタミンAに変化する。

ビタミンAは皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあり、アンチエイジングに有効で感染症の予防にも効果があるといわれている。

また暗順応(暗さに対応する目の働き)を起こすロドプシンの成分でもあるため、目の働きを助ける作用がある。

ニンジンや柿といった食材に多く含まれる。

ルテイン

強い抗酸化作用を持つ黄色のカロテノイド。

ルテインは眼の網膜や水晶体に存在する数少ないカロテノイドで「目のビタミン」ともいわれる。

青い光を吸収し遮る働きがあり、細胞の光による酸化ダメージを防ぐ役割もあり、網膜や水晶体のルテインは、黄斑変性症や白内障を予防する効果が期待されている。

ルテインは体内で合成されたいため、加齢やストレスなどで減少すると光による酸化ダメージを防ぎきれず、視力が衰えるといわれている。

トウモロコシなどの緑黄色野菜に多く含まれる。

イソフラボン

大豆の胚芽に含まれる植物性ポリフェノールの一種。

女性ホルモンであるエストロゲンと非常によく似た働きをするため、更年期障害や月経痛、乳がんなど、女性ホルモンとかかわりのある症状の軽減に効果があるとされている。

クルミン

しょうがやウコンの中に含まれる栄養成分で肝機能を強化し、胆汁の分泌を促す。

特にウコンは、カレー粉の原料のクルミンとして良く知られ、また古くから二日酔いの緩和を目的に食されることがある。

青(緑) クロロフィル

葉緑素のこと

植物や藻類、光合成細菌に含まれる。

主にほうれん草や小松菜、春菊やのりにふくまれ、不純物と一緒に排出するデトックス効果や美肌効果、発がん防止、貧血改善などの効果が期待される。

ケルセチン

コレステロールの酸化を防止、抑制する。またビタミンCの吸収を助ける作用もある。

身体の中の脂肪排出が促進しやすくなり、毛細血管を丈夫にしたり、糖尿病性白内障予防や血栓を防ぐ効果が期待される。

特に玉ねぎの皮の茶色い部分に多く含まれているので、粉末にしてお茶に入れるなど工夫して取り入れることができる。

アントシアニン

主な働きは活性酸素の抑制。目の疲れを癒したり、がん病予防の効果が期待される。また老化防止として血をサラサラにする効果などの働きが期待される。

黒豆や黒米、赤ワイン、葡萄、ブルーベーリー、小豆などの食材に多く含まれる。

フコキサンチン

褐藻素(かっそうそ)のことで、とくにワカメや昆布などに含まれるカロテノイドの一種。

活性酸素と結びつき、無害化する力があるとされる。

また多くのコラーゲンを含むため、美肌効果や体内の脂肪燃焼促進効果も期待される。

「ファイトケミカル(phytochemical)」の効果的な摂り方

最後に「ファイトケミカル(phytochemical)」の効果的な摂り方をご紹介します。

1.野菜は皮ごと食べる

野菜の皮には「ファイトケミカル(phytochemical)」が多く含まれているので、よく洗って皮ごと料理に使うのがおすすめ。

2.カロテノイドは油と一緒に摂る

カロテノイドのβカロテンやリコピンなどは、脂溶性のため、油と一緒に摂ると吸収しやすくなるといわれています。

3.含硫化合物はなるべく加熱せずに摂る

含硫化合物とは、おもにアブラナ科の野菜に含まれる成分で、玉ねぎやニンニクなどの独特な強い刺激臭や、大根などの辛み成分になる、アリシンやアリイン、アホエン、イソチオシアネートなどの物質が含まれ、豊富に含む食品は、玉ねぎやニンニク、大根のほかに、ニラやネギ、ブロッコリーやかぶ、またラッキョウなどがあります。

この含硫化合物のアリシンやイソチオシアネート、スルフォラファンは熱に弱いため、これらを摂るならなるべく加熱をせずに摂るのが良いでしょう。ただし、アリシンを含むニンニクや玉ねぎなどの野菜は生で摂りすぎると胃を荒らす原因になるため、食べ過ぎには注意しましょう。

4「ファイトケミカル(phytochemical)」は組み合わせで摂る

「ファイトケミカル(phytochemical)」は健康に良い働きが期待できますが、それぞれの働きが違うので単体で摂るのではなく、色々組み合わせて摂ることで一層の効果が期待されます。

その効果ばかりを狙って1つの食材だけを摂る、という偏った摂り方ではなく、ぜひバランスを考えて色々な食材を摂取するよう意識しましょう。