最近、トレンド難民という言葉が流行っているそうで、コロナ禍で外出しなくなったため、お店から流行を知ったりとか、街に出歩いているファッションを目にする機会が少なくなったため、トレンド情報がわかりづらくなっているということのようです。

また、洋服そのものを買うことを控えている人も多く、その理由に「着ていく場所がなくなったため」という答えが多いとか…。

洋服を買うにしてもリモートワークになったため、トップスだけを買っているなど、コロナ以前と比べて、ファッションそのものへの興味がやや薄れているのかもしれません。

ちなみにトレンドの色ということでいえば、「流行色(トレンドカラー)」というものがあるのですがご存知ですか。

テレビの情報番組で、「この秋冬のトレンドカラーの洋服~」などの説明って聞いたことがあると思いますが、そもそもこのトレンドカラーってどうやって決まっているんでしょうか。

また、パーソナルカラーとトレンドカラーの違いが判らない、という方も多くいらっしゃるので、ここでは、パーソナルカラーとトレンドカラー(流行色)の違い

今年2021年のトレンドカラーを見ていきたいと思います。

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ファッションではパーソナルカラーと流行色はとても大切なもの。ここではどのようにパーソナルカラーと合わせて、流行色が決まるかを説明します

パーソナルカラーとは

最近流行りのパーソナルカラーってなんだろう?って思っている人もいるかもしれませんね。

よくテレビで「イエベ(イエローベース)」「ブルべ(ブルーベース」という言葉を聞く、という人も多いと思います。

しかし、パーソナルカラーは「イエベ(イエローベース)」「ブルべ(ブルーベース」だけが色選びのポイントではないので、イエローベースが似合うと自分では思っても、例えば、暗いイエローベースは顔色を暗くしてしまうこともあるので、どのようなイエローベースの色が、すべて同じように似合うというわけではないことが多い!ということが本当のところなのです。

パーソナルカラーとは何か

パーソナルカラーとは、その人の色素(肌・髪・目の色や質感)をもとにして、その人の魅力をよく見せてくれる色。他人からみたとき、その人の個性や魅力が生かされている、つまりその人らしく見える色のことです。また、よく第一印象をよく見せてくれる色、とも言いますね。

パーソナルカラーとは色彩の勉強の1つの分野で色彩の知識を人やファッションに応用したものなのですが、色彩検定やカラーコーディネーター検定を勉強してもパーソナルカラーの内容は勉強できないので改めてパーソナルカラーについての勉強が必要です。

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ただ、いきなりパーソナルカラーを勉強するよりもできれば、色の基本の勉強AFTやカラーコーディネータ―検定の3級の内容は知っているとよいのです。それは基本的なことがわからないとせっかく勉強しても自分で自分の似合う色が探せない…という悲劇が起こることになります。

ファッションなどのコーディネートで大切なことの1つに、調和ということがあります。

色彩の配色を考えるときは、調和論という考え方が中心なのですが、パーソナルカラーも一種の調和論なのです。

似合う色の要素とその人の要素(色素=しきそといいますが)つまり、肌や眼、髪の色や質感と何かしら調和する要素がある色は統一感が出て似合う、ということになります。

パーソナルカラーを知っていると、自分にとって似合う色がわかっているので、色の選び方がぶれなくなります。それはとてもメリットが大きく、例えば、買い物などでも、多くの人が迷うのが色なのですが、その色を素早く選ぶことができます。しかも似合っているということがわかっているので、自信をもって安心して購入することができます

そのため例えば洋服を購入するときも、販売員が「流行の色ですよ…」と提案されても、自分の似合う色でなければ、自信をもって断れますし、また流行色は1色だけではないので、流行色の色の中から自分に似合う色を選ぶこともできるようになります。

そうなれば、時代のトレンドを意識しながらも、自分らしいおしゃれを楽しむことが出来て、一石二鳥!!

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特に最近のリモートワークで、顔映りが逆に注目されやすくなっているので似合う色のトップスを着ているととても綺麗に洗練された印象を見ている人にあたえるので、パーソナルカラーをトップスに取り入れることは、とてもおすすめです!

流行色(トレンドカラー)について

それでは流行色(トレンドカラー)とはどのようなものかを説明しましょう。

そもそも実シーズンに入る前に流行が決まっている、というのが変だな??と思う人も中にはいると思います。

そう、実シーズンの前に「流行色」は決められています。それでは皆さん、実シーズンのどのくらい前に決まるか知っていますか?

授業などで学生に聞くと、たいがい半年前?1年前?という答えが一般的ですが…。

実は2年前に流行の色は決まってしまいます。つまり今年なら2021年秋冬なので、2019年秋冬には決まるんです。

そもそもなぜ流行色を決める必要があるのでしょうか…。また、なぜ2年も前に決める必要があるのでしょうか…。

なぜ流行色を決める必要があるの?

なぜ、流行色を決める必要があるの?と思いますよね。

例えば、それぞれのアパレル会社が流行りそうな色やイメージを、何も根拠がなく考えたとします。(例えばA社は元気なイメージで赤、B社はクールなイメージのの洋服を中心にする、のような感じです。)

しかし、実際は「自然なイメージ」が流行ってそれを象徴する緑色の商品が売れてしまった、ということも起こるわけですが、そうなるとA社B社はどうなるでしょか…。

赤や青の商品が売れなかった(ほかの色の展開はあまり考えていなかった)となると、莫大な在庫だけを抱えることになってしまいます。

そう…在庫をストックしておく倉庫代も、もちろんバカになりません

アパレル会社としては当然、売れ残る商品は極力少なくしたいわけなので、ある程度売れるみこみのある色が前もってわかれば、その売れる見込みのある色の商品を作ったほうが当然効率が良いということになります。

つまり、ファッション業界の効率を図るため、2年後の世界の経済や情勢などの雰囲気をある程度予想して、流行りそうな色を仕掛けていきながら、流行の方向性を決めることで、業界全体でなるべく無駄な生産をしないようにする、という業界の智慧なんです。

流行色って誰が決めているの?

そもそも流行色とは誰が決めているか知っていますか?

世界には流行色を決める機関があります。インターカラー(国際流行色委員会)という組織があり、それに加盟している各国の代表(各国で1つの団体のみが参加できます。)が、年2回行われる流行色の会議に参加する際、2年後の世相や経済などを予想しつつ「2年後はこの色が流行るだろう…」という色を話し合い、合議制で決まった色を、コンセプトとともに流行色として、世界に向けて発信する、ということをしています。そこで発表された色が一番最初に発表される流行色になります。

(加盟国は 中国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イギリス、ハンガリー、インドネシア、イタリア、日本、ポルトガル、韓国、スペイン、スイス、タイ、トルコ、アメリカ合衆国。かつてはオーストリア、コロンビア、チェコ、ルーマニアなど)

そして、そこで発表されたことをもとにして、デザイナーにはお馴染みの色見本で有名なPANTONEが、毎年12月に「COLOR OF THE YEAR」という次の年の色を選定・発表するイベントを行っていたり、日本では一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)が毎年、日本における「今年の色、来年の色」を公開しています。

なお、流行色というのは1色だけが発表されるのではなく5~6パターンメージコンセプトに合わせて何色かをパレットの形で発表されます。そしてインターカラーで発表された色は、各国の参加機関が自国にあわせた形でさらにアレンジされて、その国で発表されることになります。つまり、同じ赤でもイタリア人が好む赤と日本人が好む赤はやはり違うので、日本であれば、参加した一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)日本人が好む色にアレンジした形で発表します。

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インターカラーで発表された色がそのまま使われるということではありません。それは例えば同じ赤でも、日本人が好む赤と外国人が好む赤は違うので、例えば日本であれば、インターカラーに参加した一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)が、発表された流行色を日本人が好みそうな色にアレンジして発表する、ということが必要になります。

なぜ2年前なの?

実シーズンより前に流行の色を決める理由は分かったと思いますが、なぜ2年前なのでしょうか?

それは、布や糸の状態から洋服の形になり店頭にならぶまで約2年かかるということです。洋服はまず未染色の糸や布の状態でスタートすることが多いので、その「糸や布をどの色に染めるか?」ということが最初の大切なテーマになります。

つまりその段階で染めるべき色が決まっていないと商品にならない、ということになるので、最初に色を決めることから商品づくりがスタートするといって過言ではないわけです。

流行色が決まった後の流れは以下のようになります。

ファッション情報の大まかな流れ

  1. 実シーズン2年前 インターカラー発表 日本を含む17か国により年2回
  2. 18か月~6ヵ月前 トレンド情報   カラー情報機関や民間団体のカラー情報や素材展
  3. 6ヵ月~3か月   コレクションや展示会 ファッションブランドやコレクション情報

※素材展はパリのプルミエールヴィジョンが有名

※オートクチュール→パリとローマで1月(同年春夏向け)と7月(同年秋冬向け)プレタポルテ→NY、ロンドン、ミラノ、パリ2月~3月(同年秋冬向け)と9月か~10月(翌年春夏向け)
これらの情報をもとに各アパレル会社のバイヤーが自社製品のための商品を買い付けます。

日本流行色協会(JAFCA)の2021年の流行色

日本流行色協会(JAFCA)が2021年の秋冬の流行色が以下の様に発表しています。

2021-22年秋冬JAFCAレディスウェアカラー
 カラーテーマ

“Across the Universe” (アクロス・ザ・ユニバース/世界を超えて繋がる)

世界を超えて繋がり、前に進んでいく
自然環境の変化、技術進化、それに伴う人々の意識の変化が急速に起こり、足元を見据えて新しい次元に移行するタイミングが訪れている。2021-22年秋冬のレディスウェアカラーのテーマ「アクロス・ザ・ユニバース」には、世界を超えて繋がり、前に進むという意味が込められている。カラーは、旧来の時代から新しい時代へ変化する葛藤や混乱、それを支える技術や人、自然を現している。

https://www.jafca.org/colortrend/ladieswear/2021AW.html

パントーン社が発表した2021年秋冬トレンドカラー

パントーン社は2021年の年間トレンドカラーには「アルティメットグレイ:自然界にも存在するような永続的なグレー」と「イルミネイティング:明るい・鮮やかなイエロー」としています。

アルティメットグレイ
イルミネイティング

※実際にRGB値で文字色を再現しております。

この2色を中心として以下の12色を上げています。

ミノコスブルー:エーゲ海を想起させるさわやかで濃い青色

★レプラコーン:アイルランドの妖精「レプラコーン」から着想

★フクシア フェドラ:フクシアの花のようなヴィヴィッドピンク

★ペール・ロゼッタ:淡いペールトーンの優しいピンク

★アドービ:陶磁に近いテラコッタカラー

★ファイヤー・ウァール:火の渦を表現したダイナミックな赤

★ロードナイト:青みの強い、深く濃い紫

★スプリング・レイク:春の湖をイメージしたくすみブルー

★ルート・ピア:自然に近い色みの濃いブラウン、健康への意識

★ココナッツ・クリーム:白とクリームを混ぜたようなカラー

★ソイビーン:大豆色。ブロンドベージュカラー

★オリーブ・ランチ:深みのある抹茶のようなカラー

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事実、今年は春夏から黄色や緑色が流行っていますよね…。このように最初に決められた流行色が、ある程度影響を与えていることがわかりますね…。

パーソナルカラーと流行色(トレンドカラー)の違い

ご紹介した通り、流行色とは、アパレル企業が商品を売れるようにするために仕掛ける色のことです。そのため、個人個人が似合うかどうかは考えられていません。

それに対してパーソナルカラーは私たち消費者にとって、一人一人似合うかどうかを考えたもの、つまり、企業側の理論の流行色と、消費する側の理論のパーソナルカラーということで、位置づけが真逆の関係になります。

例えば、洋服を買いに行き、お店の人が接客をしてくれた場合、自分をよくみて似合う色を提案してくれるということがあまりないのが現実です。(ただ、最近はパーソナルカラーを勉強している販売員も増えたので、そういう人が接客してくれたらとてもラッキーですね)

よく「流行の色ですよ…」と勧めてくれることがありますが、その色があなたに似合うとは限りません。きちんとよく見て提案してくれる販売員なら良いのですが、商品を売りたいだけ、という場合もあります。なんとなく、おだてられて、購入したものの、結局タンスの肥やしになって、ほとんど着ない、という場合も多いのが現実ではないでしょうか。

 

まとめ

流行色は時代を映す鏡とよくいわれます。実際、私も色の業界に20年以上携わり、時代の色を肌で感じましたが、特に多感な年ごろに流行った色、というのはその人の色の好みにとても大きな影響を与えていると思います。

私の青春時代、「バブル時代」では、「カラス族」といって黒が長く流行った時代なのですが、その時代に青春時代を過ごした人の多くは、クローゼットがいまだに黒やグレーが多く、カラフルな色を服として着ることに抵抗を持つ人も多いようです。

しかし逆に、2000年以降に青春時代を過ごした人は男性も女性もカラフルな洋服を着ることに抵抗がない人が多く、男性でも女性でも、ファッションに色を取り入れることにためらいがなく、とても上手に色を楽しんでいる人が多いように思います。

自分自身はそれほど流行に特に興味はなくても、売られている色は流行のものということも多いので、多かれ少なかれ影響を受けることも多く、改めて自分の好みの色とその時代の流行の色について振り返ってみるのも楽しいですね。

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流行色は時代を映す鏡としてとらえると各時代に流行った色はその時代の雰囲気や空気感がわかって面白いですよ!

「パーソナルカラー診断とは パーソナルカラータイプ別のトレンドカラー(流行色)の取り入れ方」で、パーソナルカラー別に分けた流行色の取り入れ方をまとめていますので、良かった見てくださいね。