眼を開けるとフルカラーで世界を見ている、実はそれは当たり前のことではありません。

色に関わる場合、様々な色の見え方をしている人がいることを理解し、すべての人にとって見やすい色とはどのようなものか、を理解しておくことが大切です。

ここでは、そうした色によるユニバーサルデザインについてみていきます。

色のユニバーサルデザイン

1.色覚特性の多様性…色の見え方は人によって違いがある。

 色覚特性→色の識別に関わる個々の性質のこと 

色の見え方が変化する主な要因

  1. 遺伝によるもの
  2. 眼の病気やけがによるもの
  3. 加齢によるもの
カラーコーディネーター 涼子カラーコーディネーター 涼子

この3つ以外のもの以外でも細かな個人差があり、色覚特性にはバリエーションがあります。

2 遺伝による色覚特性

遺伝により色を区別しづらい色覚特性の場合、

日本人の場合(国内300万人以上)男性の場合…20人に1人(5%) 女性の場合…500人に1人(0.2%)が該当

日本人以外の場合 白人男性…6~8% 黒人男性…4%

 理由…眼にある錐体細胞のL、M、S錐体の働きが欠落もしくは、機能しない場合に起こる→違う色でも同じ色または、似た色に見えて区別がしづらくなる。

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遺伝による色覚特性は眼科の医学用語では「色覚異常」と呼びます

 遺伝による色覚特性はどの錐体に問題があるかで3つの型に分類されます。

  1. 1型…L錐体が機能しない、もしくは働きが弱い→赤の感度が低く見えづらい
  2. 2型…M錐体が機能しない、もしくは働きが弱い→緑の感度が低く見えづらい
  3. 3型…S錐体が機能しない、もしくは働きが弱い→青の感度が低く見えづらい
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日本人男性の場合、1型が1.5%、2型が3.5%で合わせて5%になりますが、3型は非常に少ないです。

3 加齢による視覚変化

 

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青と黒が見えづらくなることで青い炎が見えなくなり服の袖に火がついたり、また、薬の違いが分かりづらく、飲む種類を間違えたり、飲む量を間違えたりします。白内障の割合は初期症状では70代で9割といわれています。

4 色のユニバーサルデザイン

色覚の多様性に配慮して、多くの人にわかりやすく情報が伝わるようにデザインを施したものをいいます。

 色のユニバーサルデザインを行う上でのポイント

①見分けやすくなる色使いにする。

背景と表示の色、あるいは区別したい二つの物の色に対して工夫をする。

  • 明度の違いをつけたり、色相などを調整したりして、区別しやすい色にする。
  • 色覚特性の違いにより区別しづらい色をなるべく使わない。
  • 青と黒、白時の組み合わせは使わない。(特に高齢者)
  • 色相・明度・彩度の近い色を使わなくてはならない場合は、セパレーションを使う。
②色以外の要素を活用する。

・形や大きさを変えたり、色の塗りに模様を入れ、そのパターンを変えたりする。

色で考えるユニバーサルデザイン

色覚特性を考えると、色だけで重要な情報を伝えることが難しくなるので、以下の点を工夫することが大切です。

 色だけで重要な記号を表さない→可動性の高い文字などの併用を心掛けることが大切

識別しにくい色を接する形では用いない→セパレーションを使って識別しやすくする

色相差があっても明度差のない色は用いない→藩閥しやすくするためには、まず明度差をつけることが大切

左の色の組み合わせはとても見えづらいですが、右の色の組み合わせは違いがよく分かりますね。

 

 まとめ

いかがでしたでしょうか?

色は様々な重要なことを伝える便利なツールではありますが、必ずしも同じようにすべての人が色を見ているわけではないので、色を扱う場合はそうしたことを理解したうえで、特に重要なことを伝える場合は、ユニバーサルデザインを考えられるようにすることがとても大切になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色のユニバーサルデザイン

03 色覚説

 

1 色覚説 「色がどのようにして見えるか」については古くから研究が行われ、色覚を成立させるための遺伝子の研究や脳における色情報の処理の解明などにより、日々新しい知見が得られているが、先駆けといえるものが三色説と反対説。

 

2 三色説(三原色説)

① 19世紀 イギリスの医師ヤング

眼の中には3種類の光を感じる粒があると仮説を立てる。

それらが光に対して別々の反応をしてその組み合わせにより多くの色を見る

ことが出来ると考えた。

② ドイツの生理学者で物理学者のヘルムホルツ

眼に入った光はR,G,Bに反応する3種類の光の波長ごとに反応して示して

三色説として明確な理論にした。

 

ポイント 色覚異常によって区別しづらくなる色の組みあわせは、この三色説に

よって説明できるものです。

 

3 反対色説(四原色説)

・ドイツの生理学者で心理学者のへリングが提唱

 

① 反対色説ができた理由(三色説では説明できないもの)

黄色はRGの視細胞の反応によって見えることになるが、実際には黄色を見ても赤や緑を感じない。

また補色残像の説明も三色説ではできない。

② 反対色説とは

残像にみられるような反対の色に対して、異なる反応をする物質が眼の中にある。

基本的な感覚 「赤‐緑」「黄‐青」「白‐黒」の3組の反対色を仮定した。

「赤‐緑」「黄‐青」は同時に存在しない。(赤みの緑や黄みの青は存在しない)

4 段階説

三色説と反対色説は対立する考えだったが今は両方の説を取り入れた段階説の考え方が採用されている。

 

① 段階説とは

網膜の視細胞の段階では三色説、それ以降の段階では反対色に対する仕組みがあるという考え方。

・光を受け取る最初の段階→L錐体(赤)、M錐体(緑)、S錐体(青)から応答

結果が計算される。

・その後は→ 反対色説にあてはなる、赤か緑とそれぞれの色みの強さ、黄か青

とそれぞれの色みの強さ、明るさの度合いが求められる。

 

② 現在の色覚説

視細胞からの出力をどのように加減するかについて、研究者によって考え方の違いがあり、段階説もバリエーションがある。

現在、実験や脳の活動を調べた研究によって、反対色説に対応するような処理が網膜の視細胞に続くほかの細胞や、脳の後頭葉において行われていることが見つかっている。

 

ポイント

色覚説は2種類の色覚仮説から始まり、実験や脳活動を指標とした研究などを通して、その詳細は日々解明されつつあります。

 

ポイント

視細胞からの出力をどのように加減するかについては研究者に少しづつ違いがあり、段階説と言ってもバリエーションがあります。