配色構成や美的形成は、人間が「美」を意識した瞬間から永遠のテーマとして存続しています。そして普段目にする情景の中で見る自然の美しさに共感を覚え、身近なものとしてその配色の美しさを生活の中に取り込み、その配色美を理論づけてきました。
ここでは、そうした自然から学んだ配色技法についてみていきます。
配色技法はたくさんありますが、最終的にその配色の名前をいわれたら、具体的にどんな色が使われるか色でイメージができるようになれることが大切です。そのためにはそれぞれの違いを差別化できるように特徴を理解しながら整理して覚えていくことが大切です。
色彩検定 1.自然から学ぶ配色
ドミナント
配色全体に共通性を持たせるドミナント配色は、色相でまとめるドミナントカラー配色とトーンでまとめるドミナントトーン配色があります。それぞれの違いを、見た目の色の印象でも理解できるようにしましょう。
ドミナントとは
・ドミナント:「支配的な」「優勢な」という意味
- 1つの色相やトーンで全体を支配することにより、配色に共通の要素をもたせて、調和させる方法
- 多色配色であっても、何等か共通性を持たせることにより、全体のイメージに統一感やなじみ感を与えることができる
ドミナントカラー配色
特徴
- 全体を1つの色相で支配することで統一感を持たせる配色方法
- 色みのイメージが全面に打ち出される
- 3色以上の多色配色で色のまとまりがなくなってしまう場合には、この配色方法によって統一感を与えることができる
例)・赤系統(暖色)や青系統(寒色)など ・自然の中では夕焼けの風景や木々の緑など
配色方法
- 同一色相(色相差0)を基本に、隣接・類似色相の範囲(色相差1~3)までを使う
- トーンは自由
ドミナントトーン配色
特徴
- 全体を1つのトーンで支配することで、統一感を持たせる配色方法
- トーンのイメージが全面に打ち出される
- 各トーンの持つ感情効果やイメージは色相が変わっても共通しているため、イメージ表現に有効
例)・霧がかった街並みの風景(ltgトーンのまとまり)・ベビー用品売り場(pトーンのまとまり)
配色方法
- 同一トーンを基本に、類似トーンの範囲までを使う。
- 色相は自由
2.ドミナント配色の応用
共通性を持たせるドミナント配色にはいくつかの種類があります。まずは、ドミナントカラーの仲間とドミナントトーンの仲間の整理をして、それぞれの名称と配色の特徴を理解しましょう。
①ドミナントカラーの一種 トーンオントーン配色(tone on tone)
特徴
- 同系色相で明度差を比較的大きくとった配色。(ドミナントカラー配色の一種で、特に明暗の差を強調したもの)
- 「トーンを重ねる」という意味
- 同系色相の濃淡配色…色相がまとまっているため、統一感や落ち着いた印象を与えるが、トーン差を利用することで、明快な配色になる
配色方法
- 同一色相を基本に、隣接色相・類似色相の範囲までを使う。
- トーンはコントラストが感じられるよう明度差をだす。
例)・葉の光の当たっている明るい部分と陰の暗い部分の濃淡・板の木目の濃淡 ・パンやグラタンの表面の焦げ目の濃淡などがトーンオントーンに該当します。
カラーコーディネーター 涼子
トーンオントーン配色は、同系色の濃淡配色ともいわれます。
トーンオントーン配色は、同系色の濃淡配色ともいわれます。
②ドミナントトーンの一種 トーンイントーン配色 (tone in tone)
特徴
- 同じ色調(トーン)でまとめ、色相で変化をつける配色方法(ドミナントトーンの一種)
- 「トーンの中で」という意味
- トーンがまとまっているため、イメージ表現が打ち出しやすい
配色方法
- トーン差が近似している同一トーン・類似トーンの範囲を使う
- 色相は自由
③ドミナントトーン配色の一種 トーナル配色(tonal)
特徴
- 中間色(中明度・中・低彩度)のトーンでまとめた配色
- 穏やか・控えめ・落ち着いたイメージのトーンを使う
- dトーン(中明度・中彩度)でまとめた配色が典型的
- 3色以上の多色配色に効果的
配色方法
- dトーンを中心に、sf、ltg、gトーンも含める
- 色相は表現したいイメージにあわせて自由に選べる
カラーコーディネーター 涼子
ナチュラルカラーのインテリアや和室は典型的なトーナルカラー配色です
ナチュラルカラーのインテリアや和室は典型的なトーナルカラー配色です
究極の統一配色
ここからは、色相もトーンも同一もしくは類似で選ぶ、カマイユ配色とフォ・カマイユ配色です。この2つの違いは、より色みが近似して見える色がカマイユ配色で、色相が類似の関係のものをフォ・カマイユ配色と呼びます。
カマイユ配色とフォ・カマイユ配色は比較して違いを理解するとよいです。もとのカマイユ配色があり、少し色の関係に差を出しているのが、偽のカマイユ(フォ・カマイユ)配色という意味になります。。
④カマイユ配色(camaieu)
特徴
- 一見すると1色にみえるような配色
- ぼんやりとしたような色の差の配色
- 三属性の差がない配色(色相もトーンもかなり近似した色を組み合わせた配色
- カマイユとは、フランス語で「単色画法」のこと
配色方法
- 色相は同一色相・隣接色相の範囲を使う
- トーンは同一トーン・類似トーンの範囲を使う
カマイユ配色は一見すると同じ色に見えるような配色を言います。
⑤フォ・カマイユ配色(faux camaieu)
特徴
- カマイユ配色に比べて、色相・トーンとも多少変化を持たせた配色
- フォ(faux)とは、「まがいもの」「偽りの」という意味
配色方法
- 色相は類似色相を使う
- トーンは同一トーン・類似トーンの範囲を使う
まとめ
いかがでしたでしょうか?
似たような名前の配色が多いので、ごちゃごちゃしてしまうかもしれませんが、まずは色相でまとめるもの、トーンでまとめるものと整理をすると良いですね。
そして、最終的には配色名で、どのような色の組み合わせになるのかを具体的に想像できるようになると、試験などでは、色を選びやすくなります。実際にカラーカードを使って配色練習をすると覚えやすくなるので、ぜひ配色練習を沢山して、色をみて配色名がわかるようにしてみてください。
これらの配色は、普段の生活の中、例えばファッションやインテリアで応用できる配色です。ぜひ理解をして日々の生活の中で役立てられるようにしてみてください。