※色彩検定AFT3級 過去問使って検定対策(1)光と色、眼のしくみ、照明と色、混色と、
色彩検定AFT3級 過去問使って検定対策(2)色の表示(表色系)の続きです。
さて、色彩検定 AFT3級 対策ブログ(1)では、色と光、眼の仕組み、照明と色、混色、
また色彩検定 AFT3級 対策ブログ(2)では、色の表示(表色系)について、2020年冬期に出題された内容と合わせて、試験合格のためのポイントについて解説しました。
この対策ブログ(3)では2020年 冬期の問題(7)(8)の、「色彩心理」について確認していきます。
※ここでも、公益社団法人 色彩検定協会発行 色彩検定公式テキスト3級、公益社団法人 色彩検定協会発行 色彩検定過去問題集2・3級 2020年度、財団法人日本色彩研究所監修 新配色カード199シリーズは用意しておきましょう。
色彩検定3級 2020年の冬の問題をみて覚えることや覚えることを確認しましょう! 問題7、8
実際の2020年冬の過去問をもとに覚える内容を確認しましょう!
問題7は、「色彩心理」の中の「色の視覚効果」(公式テキストp58~68)の文章問題とカラー問題が出題されました。
問題8は「色彩心理」の中の「色の心理効果」(公式テキストp50~57)から1問1答形式でカラー問題と1問文章問題が出題されました。
【色の視覚効果で覚えること】公式テキストp58~68
【主観色】公式テキストp67
□物理的に色みのない対象(無彩色で構成されたパターン)に有彩色を感じる現象。
図形のパターン
□ラッキーシュ&モス図形
細かな白黒の縞模様に対して直角方向に薄いオレンジや青緑のパステル調の色の流れが感じられる。
→今回は問題7Aの一番最初の問題で、「主観色」と言葉を選ぶ内容で出題されました。
□スキナー図形
黒の円の中に小さな白い円が多数配置されたもののそれぞれの白の円に薄い赤や黄、緑、青などの色が見える。
□ベンハムトップ(ベンハムのこま)
ベンハムトップと呼ばれるパターンをこまのように回すと、主観色を見ることができる。
・ベンハムトップを時計回りに回すと、中心の縞から順に「赤→黄→緑→青(もしくは赤、緑、青、菫)」に色づいて見え、反時計回りに回した場合は、色の順が逆にみえる。これはS・M・Lの3種類の錐体の反応に時間差があるために見えるという説がある。
→問題7Aで、「ベンハムトップ」の言葉を選ぶ問題と、錐体細胞が関わっているという問題が出題されました。
問題(7)の色の視覚効果の中の「主観色」と「ベンハムトップ」(公式テキストp67)は、この2つを示す典型的な図がテキストにあり、その図とあわせて出題されることが多いので、図とあわせて意味を覚えてしまうとよいですね。
色彩検定3級 【対比現象】公式テキストp58~63
対比現象は色の三属性ごとに、色相対比、明度対比、彩度対比とありますが、応用として出題されることが多いので、意味を理解していないと解けない問題になります。しっかり意味を理解しておきましょう
【対比とは何か】…隣り合う2色の「色の性質の差」が強調されて見える現象を対比現象という。
AとBは実は同じ色ですが、同じ色には見えないですね。
※このように隣接しておかれた2色、つまり空間的に近い色の間に生じる対比を同時対比といい、カラー図版で出題される場合、この同時対比が出題されることが多いです。(対比には同時対比と継時対比があります)
※上記のような図版のパターンが典型的な同時対比の図です。ちなみに大きい面積を背景色(地色)、小さい面積の色を図色といい、この中の図色がどのように色が変化したかを考えるのが基本的な問題になります。
このように、色は同じ色でも周囲の色の影響で本来の色とは異なった見え方をしますが、図のように、色の性質(色の三属性)の差が、強調して見える現象を対比現象といいます。
なお、AとBの見え方ですが、Aは暗く、またBは明るく見えます。
このように明るさの差が強調されるものを明度対比と呼びます。
□明度対比
・明度が違う色を組み合わせた時に、その明度差が強調されて見える現象
・明度が低い背景色の場合、図色は本来の色より明るく見え、明度が高い背景色の場合、図色は本来の色より暗く見える。
・有彩色でも、無彩色でも明度差があれば必ず起こる。
□彩度対比
・彩度が違う色を組み合わせた時に、その彩度差が強調されて見える現象
・彩度が高い背景色の場合、図色は本来よりくすんで無彩色に近づいてみえ、彩度が低い背景色の場合、図色はより鮮やかに見える。
□色相対比
・色み(色相)が違う色をならべたときにその色相差が強調され
それぞれに色相が色相環上で遠ざかるようにずれて見える現象
・図色が背景の色の心理補色の方向へずれて見える現象
左の図の例…黄色の背景色の上の橙色の図色
→黄の心理補色の青紫(20)に引っ張られ、5番の橙は本来より赤みが強く見える。
右の図の例…赤の背景色の上の橙色の図色
→赤の心理補色の青緑(14)に引っ張られ、5番の橙が本来より黄みが強く見える。
色相対比による色みの偏りについては、赤・黄・緑・青・紫にみがかる(例:赤みがかる)といいます。
→問題7DとEでは、色相対比「赤の上の橙」の図版の問題が出題されました。
色相対比が強く起こりやすい条件
□図色と背景色の面積比が大きいほど対比効果が強い
□彩度が高い色のほうが色相対比の効果が強い
以下の対比は、図と一緒に意味を理解してしまいましょう!
□補色対比(補色による彩度対比)
・補色どうしを組み合わせた場合、互いの色みを強調しあい、彩度が増して、より鮮やかに見える
□ハレーション
・鮮やかな赤(v2)と青緑(v14)の組み合わせのように、高彩度の補色関係でかつ、明度差がない色どうしは、2色の境界がぎらついてはっきり見えづらくなる
→問題7F,Gで紫に対する補色対比の色として黄緑を選ばせ鮮やかに見えるという問題が出題されました。
□色陰現象(しきいんげんしょう)
・有彩色に囲まれたグレイが、周りの有彩色の心理補色の色みを帯びて見える現象
・周囲の色が高彩度、中央の色が灰色の場合起こりやすい
□縁辺対比(縁辺対比)
・異なる色が隣接した図形の境界付近で起こる顕著な対比現象
・縁辺対比によって物体の境界を強調するように見えている
・グラデーションのような場合にその現象が見られやすい
図版と合わせて用語を覚えるとよいですね
「対比」以外の本来の見え方と違って見える例
色彩検定3級【色の同化】公式テキストp64~65
【対比とは何か】…対比とは逆に色どうしが近づいて見える現象
・ある色の中にほかの色を挿入すると、ある色が挿入された色に近づくように色の見え方が変わること
・挿入した図や模様が細かいときに、細かい図の背景の色に注目すると色の変化がわかりやすい
・色相・明度・彩度のそれぞれに同化は起こる
【面積効果】公式テキストp66
□同じ色でも、色の面積の大小によって見え方や印象が変わること
→一般的に大きい面積になるほど、より明るく鮮やかに感じられる。
→問題7H,Iで面積効果の問題が出題されました。
サンプル色として[8:Y-6.6-3s]の色が面積効果でどの色に見えるか、という問題で色の三属性の表記についての理解の確認もしています。この場合、面積効果は色相は特に変わらないことがわかっていれば、8:Yを選べるので①と②はすぐに消去できます。残った③は8:Y-7.0-4sと④は8:Y5.0-3s。この場合、中央の数値は明度、右端のsが付いている数字が彩度とわかれば、面積効果は明るく鮮やかになるということがわかれば、数字が大きくなっているものを選ぶことになるので③が答えになります。
色彩検定3級 【色の心理効果で覚えること】公式テキストp50~58
→問題8では、具体的に示された色がどのような心理効果を与えるものかを4択から選ぶ問題が出題されました。
色の心理効果で理解すること!
それぞれの色の心理効果が色の三属性のどの属性と関わるかを整理して理解することが大切です。
【色相が関わる心理効果】公式テキストp50、51
□暖色・寒色・中性色(トーンは関係なし)
・暖色→暖かく感じる色 色相環の範囲…色相番号1番~8番
・寒色→冷たく感じる色 色相環の範囲…色相番号13番~19番
・中性色→寒暖の感じがあいまいな色 色相環の範囲 色相番号9番~12番と色相番号20番~24番
→問題8Aでは、緑のカラー図版で中性色を選ばせる問題がでました。
□進出色・後退色
・進出色→前に飛び出して見える色 赤・橙・黄など
・後退色→後ろに引っ込んで見える色 青・青紫など
*同じ色相では高明度色のほうが低明度色よりも近くにあるように感じます。
寒色系の色相環の範囲は13~19番と20番の青紫は入りませんが、後退色には青紫と色名が入っているので気を付けましょう!
【明度が関わる心理効果】公式テキストp51
□膨張色・収縮色
・膨張色→大きく見える色 高明度の色 トーンではW、ltGy、pトーン、ltトーン、bトーン
・収縮色→小さく見える色 低明度の色 トーンではBk、dkGy、dkgトーン、dkトーン、dpトーン
□軟らかい色・硬い色(色の硬軟感)
・軟らかい色→ 高明度の色 トーンではW、ltGy、pトーン、ltトーン、bトーン
・硬い色→低明度の色 トーンではBk、dkGy、dkgトーン、dkトーン、dpトーン
*色相の影響は弱いとされますが、暖色と寒色では暖色のほうが少し軟らかく感じます。
特に黒は硬く感じますね
→問題8では、左の黄色の円と右の黒の円を比較して正しい印象を選ばせる問題です。
答えは、③の軽いになりますが、
①の「冷たい」は寒色かどうか、②の「硬い」は右のほうが硬い印象。また、④は「地味」かどうかで彩度の低い黄色ではなく彩度が高いのでむしろ派手な印象です。このようにそれぞれの印象に関わる属性で示された色をであてはめて考えると回答できる問題です。
□軽い色・重い色(色の軽重感)
・軽い色→高明度の色 トーンではW、ltGy、pトーン、ltトーン、bトーン
・重い色→低明度の色 トーンではBk、dkGy、dkgトーン、dkトーン、dpトーン
【彩度が関わる心理効果】公式テキストp53
□派手な色・地味な色
・派手な色→高彩度の色 トーンではvトーン、bトーン、sトーン、dpトーン
・収縮色→低彩度の色 トーンではpトーン、ltgトーン、gトーン、dkgトーン
【明度と彩度の両方が関わる心理効果】公式テキストp51
これまでは主要なかかわりが色の三属性のどれか一つでしたが、興奮色と沈静色は2つの属性を両方満たしています。
□興奮色・沈静色
・興奮色→暖色系かつ高彩度の色
色相は色相番号1番~8番で、トーンはvトーン、bトーン、sトーン、dpトーン
・収縮色→寒色系かつ低彩度の色
色相は色相番号13番~19番で、トーンではpトーン、ltgトーン、gトーン、dkgトーン
→問題8Eは沈静色を選ばせる問題で、そのまま寒色系であり、低彩度の条件にあてはまるものを考えると④のltg18になります。(①はb20でややひっかけです。20番は寒色ではなく、bトーンは彩度が高いので回答ではありません)
→問題8Eは、少し応用問題です。示された色(d6ぐらいの色)を大きくしたい、ということで膨張色の条件を考えます。膨張色は明るい色なので、d6より明るい選択肢を選びます。すると①のライトトーンが回答になります。④は色相を寒色系にするとありますが、膨張色は明度のみが関係し色相は関係ないので、色相を変えることに意味はありません。
色彩検定3級 【色の連想と象徴で覚えること】公式テキストp55~57
問題量としては多くないですが、1,2問は出題されるので、確実に点数を取りたい人はやはりチェックしておきましょう!
□色の連想
・ある色からそれに関係したものやイメージを思い浮かべること
・色の感情的な意味を探ることができ、時代や人種を超えた普遍的なものがある
例)赤から連想するもの→血・口紅など
・文化や社会による違いも生まれる
例)日本:赤の連想として、太陽とリンゴがよくあげられる
欧米:太陽は黄色で描かれリンゴはgreenとして登場する
□色の象徴性
・色から受けるイメージの連想が広く一般化されたもの
・文化や社会、時代による差もある
□色の連想とイメージカラー
→問題8Dでは、一般的な色のイメージとして「暖かい」「陽気な」「楽しい」「夕日」のイメージからだいだいを選ばせる問題が出題されました
・色の連想は企業活動や商品戦略にも使われる
・商品パッケージへの応用
例)原料や素材のイメージカラー→抹茶の緑
・製品やサービスへの応用
例)使用目的やシーン・グレードなどのイメージカラー、洗濯機の白(清潔なイメージ)
・コーポレートカラーへの応用
例)赤→企業の活動的な業務姿勢をアピール
青→誠実さや信頼性をアピール
緑→環境に配慮した企業姿勢などをアピール
→問題8では、コーポレートカラーの色の使い方で、企業の信頼性や誠実さをアピールする色として青を選ばせる問題が出題されました。
お疲れさまでした。
いかがでしたでしょうか。色の心理効果も出題傾向が高い内容なので、各心理効果と色の感情との関連性を理解しておきましょう。
次回は問題9~11について解説していきます。