先日11月14日に色彩検定の試験が終了しました。受験された皆様、本当にお疲れさまでした。
合否については、試験からおよそ3週間ほどのちに、色彩検定公式サイトで合格者の発表が行われます。
また、1級を受験された方の1級1次試験の合否は、12月上旬ごろに色彩検定公式ホームページに掲載されます。
そして、1級1次試験を合格された方は、いよいよ12月19日(日)に2次試験を受験することになります。
なお、「合否がわかってから2次の勉強しよう」と思っていると絶対に間に合いません。合格していることを信じて、すぐに2次の勉強をすることを強くお勧めします。
1級受験をされる方は、11月14日の試験が終わったのもつかぬ間、すぐに2次試験を準備をしないといけないので、本当に心が休まらないと思いますが、(その気持ちとてもよくわかります…)しかし、1級は1年に1度しか受験ができないので、ここで気を抜かず改めて配色の復習をしっかりしていくことがポイントです。
もちこすと…1年間受験モードのモチベーションを保つのが…本当に大変です。
そして、これまで私が色彩検定1級の講座を担当したとき、リベンジされる方にお話しを伺ったところ、2つのパターンがありました。
「全然わからなかったから受験したときに、もう不合格になると思った」こういうタイプは、最初から分かっているので次に受けて頑張って下さればよいのですが
「絶対合格すると思っていたからショックです」という人が実は案外多いのです。
このタイプの場合、ほぼほぼ間違いなく、3,2級の内容について、何かしら覚え間違いしていることが多いのです。
だから何度見直しても間違えていることに気が付かない…。ということになります。
ということでここでは、私がこれまで1級2次対策講座で、合格のための必須事項としてお話していたことをこちらのブログでお伝えしたいと思いますので、色彩検定1級2次試験を受ける方、また来年色彩検定1級にトライをしてみたいと思っている方、ぜひ参考にしてみてください!
1級2次の対策として復習しておくべきことがとても多いので計画的に行うことが大切です
色彩検定 1級2次 対策のポイント
1級2次試験は、配布された解答用紙に配布された199aの配色カードを使って、解答用紙に解答となる配色カードを貼る、ということになります。
(但し、筆記の問題も数問ありますので気を付けましょう!)
そのため試験会場に持っていくものは
筆記用具…鉛筆や消しゴムは複数(特に消しゴムは2,3個)持って行った方がよいですよ!落としたとき、すぐに気が付いてもらえなくて慌てるということ必ずあります…。
はさみ…カッターは不可です(これまで行った2次対策講座でカッターで配色練習をしている人、案外いるので気を付けてください。)また、自分の手にあったはさみをぜひ選んでください。
のり…セロハンテープは不可です→またどのようなのりにするか…十分吟味してください…というのは、せっかく貼ったのに回収時…はがれてしまう、という悲劇を起こす人が必ずいます。のりには着脱可能なもの、また形態もテープのものやペン型のもの様々なものがあります。自分の手にあったものや使いやすいものなど色々試されることをお勧めします。
チューブ式のノリを使用した人が、試験のとき慌てて力を入れすぎてのりをぶちまけ、それをとるだけで時間が終わった…という事件が起こったこともあります。
1級2次試験の問題について
1級2次試験の各項目の問題数は、4,5問程度です。そして、受験時間は90分です。さて…これみなさんどう思いますか?4,5問しかないのに90分も必要?と思いますか?
しかし!実は90分もあっても「時間が足らない」という感想を持つ人が多いのが実情なのです。そう実は2次試験は、1問1問がとっても難しいのです。
さて…何がそんなに難しいのでしょうか…。
配色カードにまずは慣れることが大切
説明した通り、1級2次は配色カードが配られます。そのため、配色カードを使いこなせるようにしておくことが必須です。また、配色練習をすることで1問目の色感を問う問題に対応できる準備ができます。
※ここのところ2次試験の1問目は、 指定された色を、それぞれの明度、彩度の位置に貼るという問題が出題されます。これは確実に色の感覚が理解できているかの問題。まずは色になれるために、配色カードを時間があるときに眺めるだけでも違ってきます。
また、どのトーンの順番に並んでいるか(vトーンが最初でdpトーン、dkトーンとつづきます)など、確実に理解して、実際の試験では、問題を読みながら、手は色を探しているぐらいの状況になっていないと、色を探すだけで時間がかかるなどというもったいない時間の使い方になります。
そのためには、配色カードbサイズのものを2,3冊はつぶすぐらいの勢いで配色練習をする必要があります。なお、もはや書店では、配色カードが売られていない場合もあるので、購入したい人はこちらをチェックしてみてください。
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3級から1級の内容がすべて詰まった問題が出題されます!
1級2次試験は主に色感(しきかん=見た目の色の分析能力)を問う問題、また、配色の問題が中心です。そして、ご存知のように配色については、1級で勉強する新しい配色というものはありません。
つまり、3,2級の総復習の内容が1級2次試験の中心問題ということになります。そう1級は3,2級がすべてわかっていることが前提なので、3級から1級の内容のどこが出ても文句は言えないのです。
3,2級の公式テキストに書かれたる細かい小さな文字のところほど大切だったりするので、ぜひきちんと読み返すことをお勧めします!
また3,2級の試験形式はマークシートが中心なので、完璧に覚えていなくても4択中に答えがあるわけなので、少々ウル覚えでも回答することが出来ますが、
1級2次試験では、
- 設問を読んで自分で答えを導き出す
- 配布された配色カードの中から自分で回答となる色票を選ぶ
- 解答用紙の大きさに切ってはがれないようにきちんと貼る
- 選んだ色の色相番号、トーン記号をきちんと書く
この1連の作業が出来て、1問の問題が解けたということになります。
そして、1問の設問のなかに、「慣用色名」「色の心理的効果」「配色技法」などなどの条件がいくつも組み合わさって回答を出す形になりますので、1つ1つの条件を確実にクリアしなければ、答えに結びつかないということになります。
そのため、3,2級で勉強した内容の、それぞれの配色の条件を完璧に覚えていないと、1つ間違うと芋づる式に間違え、誤った答えを回答し続け、挙句の果てに全問不正解!という悲劇が起こります。
例えば、
去年の1級2次の問題で(2020年1級2次 問題2より)
あるアパレル会社のブランドロゴマークと販促ツールを提案し、その配色をPCCSを使って考えることになった。この配色に関する次の設問A~Eの設問に答えない。
A ブランドネームが「SHINING CRESCENT MOON」であることから「輝かしい」という意味を色名にもつ色をテーマカラーとして配色に加えたい。JISの物体色の色名における慣用色名を一つ選び、その色名をAの枠内に記入しなさい。
選択肢ⓐ
カーマイン アンバー バーミリオン ジョンブリアン ウィスタリア バーントシェンナ 蘇芳 浅黄色 萌黄 鬱金色
という問題。 このように慣用色名は毎年確実に出題されるので、3,2級の慣用色名をチェックすることは必須です。そのチェックの仕方ですが、このように慣用色名の由来や意味が出題されるので由来と意味のチェックと合わせ、和名の場合、このように漢字にフリガナがついていないので、読めるようしておくこともポイントです。
この場合「輝かしい」という意味の慣用色名を探すということになるので、まずは、「輝かしい」の意味の色名を単純に覚えているかどうかの問題です。
→答えは ジョンブリアン(色彩検定公式テキスト2級 p133)になり、解答欄に「ジョンブリアン」と書くことで〇になります。
B Aで選んだ慣用色名の色をマークの色にしたい。選択肢bのうち、Aで選んだ慣用色名の色に最も近い色の記号を一つ選び、①の()内に記入し、そのカラーカードを枠内に貼りなさい。
選択肢ⓑ
v2 v4 v8 v12 v18 b2 b10 b16 b20 dp4 dp6 dp12 dp18 dk2 dk4 dk6 dk12 p2+ p8+
p12+ p20+ dkg8 dkg12 dkg18
という問題。お気づきかと思いますが、まずAで回答を間違えるとすべてこの後も間違えることになります。そして、ジョンブリアンという色を覚えているかという問題です。
なお、慣用色名の理解の仕方ですが、まったく同じ色を覚えるという姿勢だと落とし穴に落ちることになります。
そもそも慣用色名というのは、色をイメージしやすくするものなので、正しく色を表示できるものではない、つまり逆をいうとその色名を表せる色はある程度幅があることになります。なので、慣用色名を理解するときは、色の三属性の特徴を理解するということが大切です。
例えば、ここでジョンブリアンという色が 「彩度が高い黄色だな」とある程度覚えていれば、これだけある選択肢の中から黄色を候補にするので、8番以外の選択肢は全部カットできます。(ジョンブリアンの系統色名は「あざやかな黄」なので彩度が高いということを覚えている、ということが答えを導き出す重要なポイントです。)
すると残るのは
v8、p8+ dkg8と一気に選択肢が減り三択から答えを選ぶことになります。そして彩度が高いということを覚えていれば v8しか答えがないことになります。
→ちなみに、選択肢にb8が無いのはなぜでしょう…。つまりジョンブリアンの色といっても間違いと言い切れないからです。系統色名として考えればv8が確実に答えなのですが、慣用色名という観点として彩度が高い8番というイメージとなるとb8も答えになりえる…つまり慣用色名はその色表現には幅があるという意味はそういうことなのです
(尚、かつてこのような問題で複数回答になるものもありました。例えばこの問題の選択肢の中にb8も入れて b8でも〇にするということもありましたが、2020年は答えを1つに絞ったということなんですね…その年によって傾向はこのように違います。)
そして解答欄に bの欄に 配色カードからv8の色票を指定の大きさに切って貼り、その下の()に(v8)と書いて〇ということになります。
そしてここで確実に点数を取るポイント!
解答用紙に答えを記入する際 トーンのアルファベットは小文字です。 大文字でV8と書かれていたら減点もしくは×になる可能性があります。
また、pトーン、ltトーンにはプラス表記がされています。これはpトーンは通常彩度が2sですが、+されることで彩度1つ高くなるつまり彩度3を表しています。
試験で配布される配色カードはpトーン、ltトーンは+表記されているので、解答がpトーン、ltトーンの場合必ず+表記を付けて書くことが大切です。
(+表記がされていないことで減点になる場合も考えられます。)
C カラーカードを使ってロゴマークの色を考えたい。②文字の色は①マークの色と同一トーンで、2色の違いがしっかりと感じられるように、色相の変化が最も大きくなる配色としたい。選択肢cの中で最も適切な配色技法をひとつ選び、その名称をcの枠内に記入しなさい。さらに選んだ配色技法を用いて②文字の色をカラーカードから選び、②文字の枠内に貼りなさい。
選択肢©
ドミナントカラー配色 ナチュラル配色 ドミナントトーン配色 トーナル配色 トーンオントーン配色 カマイユ配色 フォカマイユ配色 ダイアード トライアド スプリントコンプリメンタリー
という問題です。 ここで設問の中に答えにつながるキーワードがあるので取り出したいと思います。①の答えはv8です。それを踏まえて
①と同一トーン…ということはvトーンしか選べません。そこで選択肢から削除されるのがトーンオントーン配色。これは同系色でトーンで明度差を出す配色なので同一トーンでは基本的には選ばないので削除です。
②2色の違い…ということは2色配色。そこで選択肢から削除されるのは トライアド、スプリットコンプリメンタリーです。この配色は3色になるので削除です。
③色相の変化が大きくなる。ということは、色相の関係が近い配色は削除です…そこでドミナントカラー配色、ナチュラル配色、カマイユ配色、フォカマイユ配色は削除です。
すると 選択肢は ドミナントトーン配色、トーナル配色、ダイアードの3択になります。
そしてvトーンを使う配色となると、中間色調でまとめるトーナル配色は削除され、残るはドミナントトーンとダイアードです。ドミナントトーンも大きくいうと同一トーンの配色なので、答えといえば答えなのですが、色相差を大きく出すということからより適切なのはダイアードになります。
ということで、cの枠には「ダイアード」と書き、②の文字の色を選ぶことになりますが、ダイアードは、色相差が12色相差の補色の関係の配色になる色なのでv20を貼って()に(v20)と書いて〇になります。
と、問題2はD,Eとつづく全部で5問の問題になります。
という具合に、選択肢がたくさんあっても、問題を読み進めることでかなり選択肢を絞ることができます。そのためには各条件を確実に正しく覚えている必要があり、ぜひ、3,2級の総復習を試験まで行い、内容を整理して確実に覚えておくことが大切になります。
1級2次試験で整理・復習しておくべき内容
色彩検定公式テキスト3,2級をまずはしっかり(細かいところまで)確認しましょう。
覚え間違いをしてしまうと、試験で見直しても間違いに気が付かないまま…ということになってしまいます。
覚え間違いというのは恐ろしいもので、例えば、寒色を選びましょう…という問題のとき、色相番号20番を選んでしまうと、試験では確実に×なのです。
色彩検定の試験では、「寒色の色は色相番号13~19番の間」と決められてしまっているので、試験を受けるならそのルールに従わないといけません。
3,2級の総復習なので量はかなりあります。そのため、計画的に勉強を進め1つ1つ確実に覚えていくことが大切です。
下記の内容が、出題されやすい内容です。覚えたら□をチェックする形で、1つ1つ丁寧に覚えるようにしてみてください。
□PCCSの色表示…色相名(和名、英名)→色相番号と色名を一致させましょう。(8番は黄、のように)特に「~みの」のつくものに注意。
□PCCSの三属性の色表示 例 2:R-4.5-9s=v2です。 また色相番号20番は青紫ですが 英名はバイオレットでVです。
□トーン(名前、トーンの位置、イメージ)イメージワードは色彩検定公式テキスト3級 p47に書いてある各トーンのイメージすべて覚えます。
□色調の区分 清色調(明清色、暗清色)中間色、純色の区分をしっかり整理する。
□明度彩度の区分(大まかな区分と正確な数値を覚える)→大まかな区分は、明度、彩度ともに(低・中・高)について 明度については明度値を覚えることまで最近は要求されていませんが彩度については覚えておくとよいです。(高明度のトーンを使う、などの表現はあります。)
ちなみに ltg、g、dkgは2s p+は3s sf、d、dkは5s lt+は6s b、s、dpは8s v9sの彩度値です。
*例えば「低彩度領域で」といわれたらp+、ltg、g、dkg のトーンがすべて選択できる範囲ですが「彩度値2s」で、といわれたら、p+は選択できず、ltg、g、dkgトーンの中で選ぶ、ということになります。
□色の心理的効果 暖色・寒色は色相に関係していて 暖色は1~8、寒色は13~19 中性色は9~12と20~24(中性色と中間色の違いに注意)というように、各心理的効果の条件を確実に覚えましょう(比較的、条件として出題されやすい内容です)
□色相配色 色相番号の範囲を確認→例)中差色相(4~7色相差)対照色相(8~10色相差)、補色(11、12)*条件として最初に来ることが多いです。
□トーン配色 対照トーンの位置関係に注意
□配色の応用 アクセント、セパレーション、グラデーション、ナチュラル・コンプレックス配色、ドミナントカラー配色、トーンオントーン配色、ドミナントトーン配色、トーンイントーン配色、トーナル配色、カマイユ配色、フォカマイユ配色、ビコロール、トリコロール、秩序の配色(ダイアードからヘクサードまで)*配色の問題が中心ですので、どれかの配色技法は必ず出題されます。
□原色 色光、色料、心理→ この3つの原色を使ってといわれたら基本的にはvトーンになります。ただし、例えば、「色料の色相を使って」といわれたら、色相番号が8、16,24の色相ですが、トーンはvトーンと限りません。
□慣用色名 慣用色名は出題率がとても高いので、何から手を付けてよければわからなくなったら、慣用色名を見ておくことはしましょう…。
ただし、慣用色名のマンセル値や系統色名を正確に覚えていてもあまり意味はありません。「○○色名のマンセル値を答えなさい」という問題はこれまで出題されていません。それよりも近似色をpccsの色に置き換えてイメージできるようにすることが大切です。
□3,2級の配色イメージ →特に2級の配色イメージ(色彩検定2級公式テキスト p66~75)は出題率が高いです。各イメージの色相、トーンの条件をしっかり覚えましょう。
□マンセル表色系→かつてはマンセル表色系の色表示で出題され、PCCSに置き換える問題が出題されました。ただしインテリアやエクステリアでマンセル表色系に関わる用語が出題されます。
□流行色の流れ →シャーベットトーン、サイケデリックカラーなど、戦後から10年後とに特徴を理解しておくことがポイント。
時間を必ず意識して練習する
配色の練習の時、まずは正しい答えを導き出す練習が必要ですが、ある程度慣れたら時間を必ず意識して練習するとよいです。
1問をどの程度で解けるか(色票を貼って、その色のトーンと色相番号まで書けたところまでの時間を計ります)そして、目標の時間を決めて徐々に短くしましょう。全部で4,5問と考えると、90分なので1問あたり 15分~20分程度で解けることが理想です。(見直す時間も計算しましょう。)
また時間を効率的に使うためには、同じ動作はまとめて行うと良いでしょう。どういうことかというと、1個1個解いて書いて、貼って、解いて、書いて、貼って…を繰り返すと時間がかかります。例えば、1問目の内容をすべて読み、解答をそれぞれ導いて選ぶトーンを答案用紙に書いたら、配色カードから選んだ色をすべて切り、そのあと切ったものを貼る、というように一連の動作を流れとして行うと効率が良いです。
そして、今年も1問目が色感の問題であれば、その問題は絶対時間がかかると思うので、自信が持てない人は最後に取り組むようにしましょう。
試験は何も最初から解いていかないといけない、という決まりはありません。まずは問題全体を見て、すぐに解けるところや自信があるところから取り掛かったほうが効率も良いですし、問題を解きながら自信もついてきます。
試験の時間配分はとても重要なポイントなので、しっかり時間を意識して望みましょう。!
そのためには配色カードになれて、どこのトーンがどこにあるかは見ないでわかるぐらいに練習しておくことが重要です!
まとめ
いかがでしたでしょうか…。
色彩検定の1級の2次はとても狭き門になっていますが、この色感を体に叩き込むことで、実際にカラーの仕事ができる目と考え方を身に着けることが出来るので、特に「色を仕事にしたい方」には、ぜひとも取得しておく必要がある試験です。
ぜひ、今年の受験を合格して色の達人になってください!皆様のご健闘をお祈りします!
試験会場ではどこに座るかわからず、暖房のそばで暑かったり、入り口のそばで寒かったりすることがあるので、洋服で調整できるように寒さ対策などしっかりして望んでくださいね