色彩検定1級2次試験が12月19日に行われます。1級1次試験に合格した人が対象になりますが、非常に難しい試験です。
それは配布された配色カードを切って貼って回答するという問題がほとんどだから。(筆記の問題も多少ありますが…)
つまりどのような問題であっても、配布された配色カード、つまりPCCS(日本色研配色体系)の色に変換する力が求められるという意味になります。
それは、カラーコーディネーターとしての仕事等において「色の提案」をするのであれば、具体的に色の特徴をきちんとイメージ出来たり、色の三属性を使って分析することができたり、色彩理論のルールを使って配色提案をすることで多くの人(特にクライアント)に理解・納得し、共感を得られるようになって初めて「色の仕事」が成り立つものだからです。
特にカラーコーディネーターであれば、色の分析はどの分野においても必須です。そのため、ある色を見た時に、どんな特徴の色相なのか、または明度なのか、彩度なのかを目視で理解する力が本当に大切になります。
そのため、色感を付けておくことが色の仕事においては何よりも重要となるので、色彩検定の1級2次の能力があってはじめて「色の仕事」がスタートできるようになる…といっても過言ではないと思っています。
そのため、まずは色を理解するのにとても便利なツールであるPCCSを確実に理解しておくことが大切です。
ということで、ここではPCCS(日本色研配色体系)についてまとめてみたいと思います。
1級2次を受験する方はまずはこの内容は理解しておくことが大切です!
色彩検定 勉強方法 PCCS (Practical Color Co-ordinate System)
- 日本色研配色体系のこと
- 財団法人日本色彩研究所によって開発されたカラーシステム
- 色彩調和を主な目的としているため、配色を考えるのに適している
- 色彩教育用として良く使われ、色票も手に入りやすい
- 色をイメージしやすく、マンセル表色系との互換性もある
PCCSの概要も理解しておきましょう!筆記問題として書くことなどもあります!
特徴
色相(Hue)と色調(Tone)の2つの属性で色を表示する「ヒュートーンシステム」となっている
三属性を個々に考えるより、色相とトーンで考えた方が色を感覚的に捉えやすいため、配色調和を検討しやすい
色の三属性 1.色相(Hue:ヒュー)
①24色相で構成
色相環に含まれる色 心理四原色(色相番号: 2 8 12 18) 色光の三原色(色相番号: 3 12 19) 色料の三原色(色相番号: 8 16 24)
②24色相を決めた手順
- 心理四原色である、赤、黄、緑、青の色相を色相環上に置き、その心理補色の青緑、青紫、赤紫、黄みのだいだいを置いて8色相とした
- この8色相の間に色相の変化が等しく感じられる4色相を置いて12色相とした
- さらにその12色相の間にちゅかんとなる色相を置いて24色を決めた
③色相の表示方法
- 日本語の色相名と英語の色相名、色相番号で表すことが出来る
- 日本語の色相名は色相名のみと、色みの修飾語「~みの」をつけたものがある
- 英語の色相名では「~み」にあたる修飾語は「~ish」をつける
- 色相記号は「紫みの赤」から時計回りの順に1から24の色相番号をつけ、その後に色相の略記号をつけて表す
- 「青」と「青緑」については同じ日本語の色相名に2つの色相番号がある
- カラーコーディネーター 涼子
1級2次では色相番号と色相名を一致できるように覚えておくことは必須です!確実に覚えましょう
④色相環の覚え方
色相番号を1から順番に覚えても良いのですが、それだと単なる暗記です。そしてその覚え方だと、1つ忘れると全部忘れてしまったり、ずれて覚えていても間違いに気が付けなかったり、、とかなり大変なことになります。(色相環は公式テキストp40を見て確認して覚えていきましょう。)
次の順番に覚えるとよいでしょう。
(1)まずはフリーハンドで円(色相環)を書きます。
(2)赤(2番)黄(8番)緑(12番)青(18番)紫(22番)の5色相をフリーハンドで書いた円の
それぞれの位置に番号と色相名(赤などです)を書いていきます。
(3)2が書けたらその中間の5色相を、2で書いたそれぞれの色相の間に書きます。
だいだい(5番)黄緑(10番)青緑(14番)青紫(20番)赤紫(24番)です。
(3)PCCS色相環は同じ色相名が2つあります。それは覚えていないと書けないでしょう。15番の青緑と17番の青を加えます。
(4)残っているところはすべて「色みの修飾語」がついた色相名ばかり。ちなみに色みの修飾語については、1.に書いた「赤・黄・緑・青・紫」の5色相に「~みの」をつけたものです。(赤みの黄など)(中間の色相には色みの修飾語はつかないので注意→「黄みの黄緑」なんてないです!)
例えば、2番の赤の両隣の色相を考えた時、赤につけられる色みの修飾語は「紫み」か「黄み」なので紫に近い1番の色相名は「紫みの赤」で、黄に近い3番の色相名は「黄みの赤」となります。 また5番の「だいだい」につけられる色みの修飾語は「赤み」か「黄み」なので、4番の色相名は「赤みのだいだい」そして6番は「黄みのだいだい」になります。このようにすれば、24色相環の色相名はすべて埋まります。
※ここで、色料の三原色(8:黄 Y)(16:シアン C)(24:マゼンタ M)と色光の三原色(3:黄みの赤 R)(12:緑 G)(19:紫みの青 B)の位置も確認しましょう。そして、混色の結果は、混色する2色の間の位置の色になるので合わせて覚えましょう。(例: 色光 R+G=Yになる)
色の三属性 2.明度(Lightness:ライトネス)
- 白から黒までのグレイスケールを明度の基準とする
- 最も明るい「白」を色票の明度9.5、最も暗い「黒」を1.5 なお、その間に明度の変化が等しく感じられる15色を灰色として0.5刻みで表示している
- 低・中・高と大きく3分割して表すこともできる→低明度1.5~4 中明度4.5~6.5 高明度 7~9.5
- 明度の数値はマンセル表色系の明度と一致している
色の三属性 3.彩度(Saturation:サチュレーション)
- 鮮やかさ感を表している。もともとは「飽和度」の意味
- 彩度の数値にSaturationの頭文字s(小文字)を付けて表示
- 実際にある色材の中で、各色相で最も鮮やかな色(純色)を基準として選び、これを9sとする
- 各色相で最高彩度値は9s
- 純色(9s)を基準とし、同じ明度の無彩色を最も低い彩度値(0s)として、その間を彩度の変化が等しく見えるように段階的に変化させて表す
- 低・中・高と大きく3分割して表すこともできる
色の三属性による色表示
有彩色 色相記号-明度-彩度の順 → 例) 2:R-4.5-9s
無彩色 明度を表す数字の頭にnをつける → 例) n-4.5
トーン
- 明度と彩度を複合してとらえた概念=色の調子(色調)
- 同じような印象やイメージを持つ明度と彩度の領域をまとめたもの
- 色相が変わっても同じトーンならイメージは共通する→そのためイメージ表現に便利
- 有彩色12トーン、無彩色5種類
- それぞれのトーンのイメージを表す名称がつく
①トーンの表し方
- ・英語によるトーンの名称 例)ビビッドトーン
- ・トーンの略記号 例)v(小文字)
- ・日本語によるトーンの名称 例)さえた
②トーンの仕組み
- 縦軸は明度 横軸は彩度を表す
- 純色:各色相の中で最も彩度が高い色(vトーン)
- 清色:純色に白または黒を混ぜた色
- 明清色:純色に白を混ぜた色(b、lt+ p+)
- 暗清色:純色に黒を混ぜた色(dp、dk dkg)
- 中間色:純色に灰色(白+黒)を混ぜた濁りみのある色(s、sf、d、ltg、g)
まとめ
いかがでしたでしょうか?
1級2次試験ではまずはPCCSを完璧にマスターしておくことがとても大切なので、試験までにしっかり覚えておきましょう!